東京・名古屋など大都市は弁護士が飽和している

弁護士未登録者の割合

登録費用も負担になっている?

今、弁護士未登録者の割合が増加しています。 日弁連によれば、新司法試験に合格し平成23年に司法修習を終えた弁護士志望者のうち、弁護士登録をしていないケースが約20%にもなると分かりました。 この割合は年々増えつつあり、過去4年間で約20%も増加しています。 背景として、弁護士会への登録費、年会費と弁護士の就職難が指摘されています。 弁護士会への登録費用は弁護士会によっても異なりますが、数万~数十万円程度、また年会費も50~60万円になります。 就職先が決まらず会費を払う目途が立たない弁護士志望者にとっては、登録そのものが難しいのでしょう。 法科大学院制度発足以降、法曹三者で弁護士の数が増加する中でこのような状況は当面続くと考えられます。

新司法試験合格者を含む法科大学院修了者の就職難の原因は、法曹人口が飽和しているとされているからです。 それに対して法曹人口増加のペースダウンや法科大学院の定員削減などを求める意見も出ているようです。 しかし法曹人口の飽和に対しては、従来型のいわゆる法廷弁護士についてのみ当てはまるものであります。 非訴訟分野では大規模事務所を中心に、業務拡大の余地はおおいにある、司法の枠外で新しい職域への拡大余地もおおいにあるという見解もあります。 実際に大規模法律事務所では、M&A等のビジネス法務に携わる弁護士で訴訟代理の経験がない方もおります。 またバックオフィスを持たないことでサービスの価格を下げ、機動的なサービスを提供する弁護士もおります。 今のところ、法科大学院制度の導入とその運用については、かなりの批判があることも事実です。 法曹を育てるための教育内容が多様な領域にまたがるビジネス法務を中心に、時代のニーズに適合しているかは疑問の余地があるでしょう。 今後も法曹をとりまく様々な立場の方が、しっかりと意見交換をしていく必要があるのではないでしょうか。